令和5年6月定例会 一般質問全文

6月22日(木)に岡山県議会 令和5年6月定例会に初の一般質問に登壇しました。

以下は質問の全文になります。

民主・県民クラブの鈴木一史です。
本年4月に岡山市南区選挙区から初当選をさせていただき、本日、初めての一般質問に立たせていただきます。よろしくお願いします。
さて、6月1日に藤井聡太名人が誕生しました。
更なるタイトルの王座獲得も目指していると思いますが、彼の思いは、タイトル獲得による名誉や名声を求めているのではなく「純粋に強くなりたい」との一心だけだそうです。
そのため、対局で敗れた時の感想戦では、敗れた悔しさをこらえて、次の勝利への学びの場として位置付けています。その為「失敗からの学び」から、「感想戦は、敗者のためにある」のだといいます。
有権者の皆様から県政を託された一人として、私も、純粋に県民の福祉向上のために邁進していきたいと考えています。そして私の思いの「たいまつの火」を、県民の皆さまの一人一人に確実に移していき、
少しでも未来を明るくしていきたい、その思いで、「一心精進」して参る所存です。
本日の、この初心を忘れずに、県民、また、
弱い立場の人たちのために、岡山県議会議員の職責を果たすべく、全力で取り組んでまいります。
諸先輩議員の皆さま、伊原木知事をはじめとした
執行部の皆さま、まだまだ未熟で至らない点も多々あるかと思いますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
また今日は私の応援にお越しいただいています皆様に感謝申し上げます。

それでは、通告に従いまして質問させていただきます。

1 AI時代について

先ほどの前段でもふれました藤井七冠は、いち早くAIを導入し、研究してきたことで知られています。
また、最近話題のAI技術を活用したChatGPTは非常に便利なサービスです。文章作成だけでなくプログラミングや画像生成なども簡単な手続きで利用でき、幅広い用途での活用が考えられます。しかし、セキュリティ面や情報の信ぴょう性といった課題も指摘されています。
AIの利活用が一般化する時代がやってこようとしています。

県では一昨年「岡山県DX推進指針」を策定し行政のデジタル化を進めていますが、そのためには、AIといったデジタル技術を適切に扱えるよう、職員が必要な知識やスキルを身につけていくことが必要です。一方で、例えば県民が本当に必要とする事業の企画や、市町村との調整・取りまとめなど、AIでは担うことが出来ない業務も県行政には多くあります。これからおとずれるであろうAIの時代において、求められる県職員像とはどのようなものでしょうか。知事のご所見をお伺いします。(1)
また、デマやフェイクニュースといった偽情報などもAI技術の更なる発展によって、これからはもっと簡単に作成・拡散がされてしまうかもしれません。情報の取扱いについて県民はどの程度準備ができているのでしょうか。ネット上での嘘を嘘と見抜く力・騙されない力が重要となってきますが、県民の情報リテラシーの向上について知事のご所見をお伺いします。(2)

また、私は、教育こそ、未来への投資だと考えています。少子化は、ある意味で、効率的に投資ができる、少数精鋭の人材育成のチャンスという側面もあると考えます。
作家・司馬遼太郎は、エッセー「21世紀に生きる君たちへ」の中で、「21世紀にあっては、科学と技術がもっと発達するだろう。科学・技術が、洪水のように人間をのみこんでしまってはならない。川の水を正しく流すように、君たちのしっかりした自己が科学と技術を支配し、よい方向に持っていってほしいのである。」と書いています。

また生成AIを使った調査報道の在り方を議論する国際会議が先日、早稲田大で開かれました。
会議で講演した、「パナマ文書」報道に関わったエミリア・ディアズ―ストラック氏が、AIの調査報道への活用方法として「データを分類する上で助けられた」、「AIはいつも正しいわけではない。人間がファクトチェックやデータの質を考えることが必要だ」と語ったとあります。

このような発言からも、これからの日本や本県の未来の担う若い世代はChatGPTといった生成AIから提供された情報を鵜呑みにするのではなく、正しい情報なのか精査・判断し、よりAIと共存していく事が求められると考えます。

そこでお尋ねします。生成AIなどが急激に社会に広がっていくなか、教育現場では、今後どのようにAIを導入していくべきとお考えでしょうか。併せて情報を精査し、判断する能力を高める教育をどのように行っていくのでしょうか。教育長のご所見をお伺いします。(3)

「偽情報や迷惑行動の動画などを自ら作成して発信してはいけない」といった、年齢や学年に応じた更なる情報モラル教育が必要だと考えます。
情報モラルに限らず、倫理観や道徳観は、学童期から青年期にかけて各家庭や地域、そして学校で養い、培って、育んでいけるものだと思います。

学校での児童・生徒たちへの情報リテラシーにおける倫理観や道徳観の育成について、教育長のご所見をお伺いします。(4)

加えて、県立大学では、論文作成・作品発表等において、他人の著作権を侵害したり、模倣したりして大学の信用を失墜しないようにすることが重要だと考えます。その対策について総務部長のご所見をお伺いします。(5)

2 介護予防について

令和2年の都道府県別の平均寿命は、岡山県の女性が全国1位(88.29歳)、男性が10位(81.90歳)となり、全国でも長寿県となっています。一方で、令和元年の本県の健康寿命は女性が14位(76.04歳)、男性が36位(72.28歳)にとどまっています。
「平均寿命」も大切ですが、日常生活を制限されず健康に生活できる期間である「健康寿命」も、健やかな人生には欠かせない要素であり、健康寿命の延伸は本県にとって大変重要な課題です。
健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めることで、自分らしく、また、住み慣れた家や地域で暮らすことができ、いつまでも健康に過ごしていただく事が県民の幸せだと考えます。

長く健康でいるためには生活習慣を改めることも重要ですが、スポーツ・ボランティア・趣味関係のグループ等への社会参加の割合が高い地域ほど、転倒や認知症等のリスクが低い傾向がみられるといった国の報告があり、高齢者の社会参加の機会を増やすことが重要なポイントになります。
令和4年版高齢社会白書によれば、65歳以上の人のうち、過去1年間に社会活動に参加した人は51.6%となっています。また、社会活動に参加した人が生きがいを「十分感じている」「多少感じている」の割合が84.7%なのに対して、参加していない人は、61.7%と23%も開きがあります。

そこでお尋ねします。本県の高齢者が過去1年間に社会活動へどのくらい参加しているのか、状況を把握されているでしょうか。高齢者の社会参加の機会を増やしていくために、今後どのように取り組むのか併せて子ども・福祉部長のご所見をお伺いします。(1)

令和3年に策定された「第8期岡山県高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」において、「生活支援コーディネーターは、コミュニティを再構築しながら地域の支え合い体制を構築する役割を担い、就労的活動支援コーディネーターは、就労的活動の場を提供できる民間企業・団体等と就労的活動の取組を実施したい事業者等をマッチングする役割を担います。」とあります。

そして続いて、「県は、生活支援コーディネーターや就労的活動支援コーディネーターとなる人材を計画的に養成する」とありますが、現在の養成状況と具体的な養成計画について子ども・福祉部長に伺います。(2)

更に国の調査で、介護が必要となった要因をみると、認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱、骨折・転倒の順に多い結果となっています。
特に、要支援や要介護1、2の原因をみると、高齢による衰弱や骨折・転倒等が多く、介護予防の観点から見ると骨折・転倒を防ぐことが重要になると考えます。
また、高齢者の骨折・転倒は寝たきりに陥りやすい要因となり、寝たきりになることによって、認知症や糖尿病なども進行しやすくなるリスクもあります。
各市町村の介護予防の通いの場では、転倒予防のプログラムに取り組んでいるとお聞きしています。今後の県民の健康寿命を延ばしていくためには、こうした介護予防が最も重要になっていくと考えます。

県内の介護予防のための通いの場の数は、令和3年度時点で2,589か所あり、そのうち週一回以上体操を実施しているのは1,310か所あるとのことです。第3次晴れの国おかやま生き活きプランの中の介護予防のための通いの場への参加率は、令和元年度で7.9%となっており、全国平均6.7%より高い率でしたが、令和3年度は6.1%となっています。県民がずっと健康でいられるよう、今後の更なる参加率向上に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、子ども・福祉部長のご所見をお伺いします。(3)

また、第8期岡山県高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画では、通いの場をはじめとした通所に自力では参加が難しくなった高齢者が、利用を継続できるよう、付添活動の担い手である通所付添サポーターの養成を行うとともに、通所付添活動の普及を図るとあります。

通えない方の中には独居生活の方もおられると思いますので、地域での孤立を防ぐために大変良い活動だと思います。

今県内でどのくらいの方が通所付添サポーターの養成を受けられて、活動をされていらっしゃるのでしょうか。実施市町村は現在11市町村にとどまっていますが、現状と今後の課題について、併せて子ども・福祉部長のご所見をお伺いします。(4)

3 病児保育について

近年、共働き世帯やひとり親世帯の増加に伴い、保育のニーズは年々高まっています。
子どもを保育園に預けている共働き世帯・ひとり親世帯が、子どもが急に体調を崩した場合、看病のために仕事を休まざるを得ません。そうすると仕事に支障が出るだけでなく、非正規雇用で働いている場合は収入にも影響します。
体調不良の子どもを安心して預けることができる病児保育は現代において不可欠なインフラになりつつあります。
しかし、県内の病児保育施設は、令和5年2月1日の時点で53施設、定員数は全て合わせて1日あたり159名となっています。病児保育の実施数は年々増加しているものの、まだまだ十分な数とは言えないのが現状です。
ニーズがありながら利用施設が足りない背景には、国の調査報告書から、以下の課題があることが分かっています。
まず、運営上の課題として、利用数が日々変動し、十分な事業収入を安定的に得られないこと。
次に人材に関する課題として、事業収入が安定しないため、人材の安定的な確保と雇用継続のための処遇改善が困難であること。
三つ目に、広域連携に関する課題として、隣接自治体からの受入等に当たっては、近隣の病児保育施設等との情報交換等の場が必要であること。自治体の支援にバラつきがあるため、複数自治体での事業展開がしにくいこと。
四つ目に保育の質に関する課題として、医療機関との連携方法や、医師が児童の症状・処方内容などを記載する連絡票の作成費用に係る公費支援等についての統一化が必要であること。また、隔離室を十分に用意できない等、児童の状態に応じた保育が困難であること。
このように事業の採算性が不透明で赤字経営になる可能性が高いため、新規参入が難しく病児保育普及の壁になっているのが現状です。
先の調査報告書でも事業収支は、平成29年・平成30年度ともにマイナス100万円超になっているとあります。
また、病児もしくは病後児保育型のいずれかを実施している施設・事業所の事業収支を定員規模別にみると、定員が「4 人未満」では赤字幅は年間50万円ですが、4人以上の定員では100 万円を超え、「8~9 人」では約 300 万円の赤字となっており、受ければ受けるほど赤字になるため、小規模化の施設が多く、県内では10名以上受け入れの出来る施設が2施設しかありません。多くの施設が3名から6名の定員で、利用したい施設の定員がすぐに埋まってしまうことも問題です。

国、県、市町村がそれぞれ1/3の割合となっている地域子ども・子育て支援交付金について、現在利用児童数に応じた加算分はあるものの、1か所当たりの基本の補助基準額は、規模にかかわらず一律となっています。そこで、少なくとも赤字経営を解消するため、1か所当たりの基本の補助基準額を施設の定員数に応じて上乗せを図るなど、県独自の財政支援を検討いただきたいと考えますが、子ども・福祉部長のご所見をお伺いします。(1)

また、県内では平成29年4月から広域相互利用が開始され、年々県内の広域相互利用の地域も拡大しています。病児保育事業実施施設の18市町で相互利用が可能であり、その他に利用実態に即して津山圏域、西粟倉村は美作市で利用が可能となっています。しかし近接県との相互利用の実現には未だ至っていません。
平成28年7月4日に開催された岡山・広島両県の知事会議では、「井笠・備後地域の住民であれば居住地に関係なく保護者の生活実態に応じて相互利用できるよう、事業主体の市町に働きかけていくことを決めた」「伊原木隆太知事が、女性の活躍を後押しするため同事業の充実が必要とし、「井笠地域や福山市など近隣で一緒にできるよう考えていきたい」と提案」したと聞いています。

そこでお尋ねします。病児・病後児保育事業にかかる近県との相互利用実現の進捗状況はどうでしょうか。また現在、相互利用が難航しているのであれば、何が課題になっているのかでしょうか。併せて子ども・福祉部長にお尋ねします(2)

4 ハザードマップについて

今定例会の提案説明で知事は、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興にふれ、「あらためて豪雨災害の経験や教訓を振り返り、県民の防災意識の向上を図るため、来月、県民防災シンポジウムの開催を予定している」と述べられました。
豪雨災害から5年を経て、水害や地震などに備えるため、堤防の設置や、建物の耐震補強といったハード面だけでなく、避難方法や被災後の行動について日頃から考えておくこと等、防災・減災のために備えておくことへの関心が県民に高まったと感じています。
また、ハザードマップや防災教育などのソフト面における対策の重要性も注目され、リスク・コミュニケーションの重要性がより浸透してきていると考えられます。
そして、万が一の事態に備えて、どうしたら安全・安心に避難できるか今一度考えるよい機会だと考えます。
そのような中で、避難に重要な役割を果たすハザードマップですが、その認知度には課題があると感じています。

内閣府の令和元年台風第19号等による災害からの避難に関するワーキンググループ(第2回)が令和2年2月に開催され、住民アンケート結果で、75.5%はハザードマップを見たことがあると回答しています。
また、令和3年12月に国が設置した「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会(第1回)」によると、ハザードマップが作成されている市区町村に居住する1500人のうち、見たことがあると回答したのは69%でした。
一方、生き活きプランにおけるハザードマップの確認を行っている県民の割合は29.2%です。
前述の2つは防災意識の高い方へアンケートを取っている結果だと思いますが、自らの命は自らが守る取り組みの更なる促進が必要と感じます。

生き活きプランの中にも適切な災害への備えができるよう、防災に関する知識の普及啓発に努めます、とあります。
生き活き指標において、ハザードマップの確認を行っている県民の割合を29.2%から40%へ上昇していく目標を掲げていますが、目標達成に向けた具体的な取組について、危機管理監にお伺いします。(1)

先ほどの検討会(第1回)での資料によれば、ハザードマップを閲覧しない理由は、①「これまで水害の危険が迫ってない」、②「水害の危険が無いと思っている」の順であり、防災意識の低い住民への周知・啓発が課題といえます。
ハザードマップに示している情報は、避難に必要な基礎的かつ標準的な情報であり、多くの市区町村において、紙面による提供は進められており、デジタル技術を活用した提供も広がっている等、様々な手段を通じて、ハザードマップを周知・利活用する取組みが進められています。
住民の避難に役立っていると考えられる一方で、ハザードマップの情報だけではとるべき避難行動がわからないという意見もあり、より一層、「身の回りの自然災害のリスクを正しく認識し、避難行動につなげる」ことが課題だと考えます。

また、先ほどのワーキンググループ(第2回)での資料によれば、ハザードマップを見たことがある人のうち、ハザードマップに何かしらの課題があると考えている人が70.4%です。
その上位回答は、地図の縮尺が小さくわかりづらいが30.9%、とるべき避難行動がわからないが28.7%、色のグラデーションがわかりづらいが24.8%、などが挙げられています。
非常時の場合、一刻も早く安全に避難できるルートを探さなければいけないわけですから、分かりやすく、見えやすいハザードマップが求められるのではないでしょうか。

例えば、全国の自治体の事例として、スマホでみるハザードマップがあります。
避難情報の発令のプッシュ通知や、ARを活用したスマホアプリ等もあるようです。

また、避難行動につなげる工夫をしているものとして、避難行動に寄与するため、「分かる化・見える化」しているハザードマップもあります。
具体的には、早期の避難が必要な住民に対して、避難場所や避難時の心得えなどを記載したものや、浸水深や個人の状況に応じてチャート式の選択を繰り返すと最適な避難行動が確認でき、避難行動に必要な情報も最小限に絞ったものもあります。

また、あらゆる主体に「伝える」ことを配慮したものとして、点字、音声、手話による動画のハザードマップもあります。
障害の特性に応じた水害ハザードマップの作成自治体は、全国でも41自治体と非常に少ないのが現状です。

そこでお尋ねします。デジタル技術を活用したハザードマップの提供や、避難行動に寄与するため、「分かる化・見える化」しているハザードマップ、また、あらゆる主体に「伝える」ことを配慮するため、障害の特性に応じたハザードマップを作成していく事が全ての県民の安全・安心につながると考えますが、危機管理監のご所見を伺います。(2)

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