12月15日(金)に岡山県議会 令和5年11月定例会の一般質問に登壇しました。
今回は岡山県に限らず、日本全体の問題でもある「少子化対策について」や、県財政を少しでも増やしてその他へ使用できるよう「県施設のネーミングライツについて」、もっと地域に愛着がわき、初めての方でもわかりやすく県内を行き来できるよう「道路愛称について」、県が運用していたドメイン(ホームページ)の取り扱いなどの「ドロップキャッチについて」の質問をさせていただきました。
以下は質問の全文になります。
1 少子化対策について
(1) 今後の検討
厚生労働省によると、令和4年に岡山県内で生まれた子どもは1万2371人で、前の年と比べて736人減り、統計を取り始めた明治32年以降、最も少なくなり、11年連続過去最少を更新しているそうです。
また、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は、令和4年は、前の年より0.06ポイント低い1.39でした。全国平均の1.26は上回っているものの、これは中国地方の5県では最も低い数字です。
ちなみに第3次生き活きプランで県が策定した生き活き指標では、来年までに1.52まで引き上げることを目標としています。
知事は12月5日の自由民主党の山本議員や民主・県民クラブの大塚議員の代表質問の答弁で、「喫緊の課題である人口減少問題に挑んでいく」との強い決意を述べるとともに、第3次プランに掲げる3つの重点戦略等に基づく施策、特に、待ったなしの課題である少子化対策に正面から向き合い、希望する誰もが安心して子どもを産み育てることができる社会とするための施策を重点的かつ着実に推進していく旨、述べられました。
少子化は、本県、そして、日本が直面する最大の危機であります。本県においても、どうか、知事の強いリーダーシップのもと、市町村とも十分連携を図りつつ、対策を強力に進めていただくようお願いします。
そこでお伺いします。
県では、今年度も、少子化対策総合推進事業として、縁結びネットの運営や、企業とタイアップした子育て支援の検討など、様々な施策に取り組まれていますが、県内には、合計特殊出生率2.95の“奇跡の町”と言われる奈義町のように全国から注目されている自治体もあります。今後の少子化対策を検討するに当たっては、こうした市町村での取り組みを参考にしつつ、その意見も聞きながら、進めてはいかがかと考えますが、知事のご所見をお伺いします。
(2) 不妊治療への支援
次に、その少子化対策に関し、不妊治療への支援について、お伺いします。
少子化対策として、若い世代に命の尊さや、自分の体と心を大切にする気持ちを育むこと、親になることについて等、将来を考える機会を提供することも大切です。また、出会いや結婚支援を継続的に進めていくことや子育てがしやすい環境整備をしていく事も大事だと思います。
このような対策をしながら、その上で、子どもが欲しくても授かれない県民に対しても、しっかりと目を向ける必要があると思います。
このことについて、本年10月31日に公表された第9次岡山県保健医療計画の素案では、岡山県が独自で行っている不妊・不育に悩む方への支援として、「不妊・不育専門相談センター(岡山大学病院)において、不妊・不育に関する専門的な相談などに対応」と「不育症の方への経済的支援として、検査に要する費用の一部を助成する」旨が盛り込まれました。
しかし、不育症の検査の助成は全ての都道府県で行っています。
また、不妊治療においては、「令和4年4月から不妊治療の保険適用が開始されています。」とだけ記載されており、岡山県が独自に行っている不妊に悩む県民への助成はありません。
これまで県でも国の制度で不妊治療に対する助成制度はあったものの、人工授精は対象外であったり、所得や助成回数に制限があったりなど、経済的な負担を軽減するには不十分なところもありました。
令和4年4月からは人工授精などの高度不妊治療にも保険が適用されることになったため、県の助成は廃止されました。
保険適用が開始されたため、以前よりは経済的負担が軽減され、不妊治療を受けるハードルも下がることが期待できることは理解できます。
とはいえ、保険が適用される年齢は女性が43歳未満、回数は40歳未満の場合は子ども一人に対して最大6回まで、40歳~43歳未満の場合は最大3回までとなっています。
いま若い世代でも、若いうちから不妊治療をしている夫婦は多いと聞いています。私の知っている20代・30代の夫婦が何組も不妊治療を行っていますし、治療により妊娠・出産をして現在、子育て真っ只中といった夫婦もたくさんいます。
しかし、出生率1.52を目指していくには、不妊治療についての更なる周知や不妊治療をするための助成をしていくべきではないかと考えます。
民間の不妊治療施設検索サイトによりますと、京都府や福井県は不妊治療に対して、検査、保険診療、先進医療、自由診療に助成を行っており、また、全国の都道府県の内、約2/3の自治体で何らかの不妊治療における助成を行っているとのことです。
また、岡山県の女性の平均初婚年齢は令和3年度で28.8歳と全国平均の29.5歳より0.7歳低いですが、以前から比べると晩婚化が進んでいます。更に、平均初産年齢も令和3年度は29.9歳と全国平均30.9歳より1.0歳低いですが、こちらも晩婚化の影響からか徐々に高年齢化が進んでいます。
不妊治療の保険適用は女性が43歳未満となっています。女性の加齢に伴い着床率が低下するというデータがありますが、高知県では県独自で女性の年齢が43歳以上の方にも不妊治療の助成が受けられるそうです。
そこでお伺いします。
岡山県も、子どもが授かりたいと考えている夫婦に対する経済的な支援として、また、待ったなしの課題である少子化対策として、更に言えば「合計特殊出生率」の向上のため、不妊治療に岡山県独自で様々な助成を検討してはいかがでしょうか。特に、晩婚化が進む現代では、43歳以上の女性の方の中にも、経済的な理由から不妊治療を受ける事をためらい、子どもを諦めてしまっている人も多数いると思われ、そうした方に、来年度の1年だけでもよいので助成を検討してはいかがでしょうか。併せて、知事にお伺いします。
2 ネーミングライツについて
(1) 他県の取組等
岡山県ではネーミングライツ事業を平成22年3月に導入しました。
ネーミングライツによる収入は、施設の整備等に要する経費の一部に充当することとしており、岡山県総合グラウンドの陸上競技場が年額1,800万円(税抜き)、岡山県総合グラウンドの体育館が年額8,092,000円(税抜き)と、県の貴重な財源となっています。
しかし、現在、岡山県のHPでネーミングライツの契約を行っていると確認できる施設は、先ほど述べました2施設だけであります。
一方、他の都道府県では様々な施設や道路施設のネーミングライツ・パートナーを募集している自治体が多くみられます。
例えば、県管理の施設(公園・ダム・動物愛護センター)や道路施設(歩道橋・トンネル・跨道橋)、中には道路そのものを募集している県もあります。
こうした、他県の取組について、どう捉えておられますか。また、施設の安定的な運営・管理の財源確保を図るため、県施設におけるネーミングライツを拡大していくことはできないでしょうか。併せて総務部長にお伺いします。
(2) 提案募集型の検討
また、中には提案募集型といわれる、愛称をつける施設を県が指定するのではなく、企業側が希望の施設を提案するという制度を導入している自治体もあります。
もちろんすべての施設が対象ではなく、庁舎や教育施設などは対象外としていますが、我々が特に意識していないものに関心を持つ企業等が出てくる可能性はあるのではないでしょうか。
本県においても、以前、この提案型の募集を行ったことがありますが、今は実施していません。新たな財源の確保や、それによるサービスの向上にもつながると思われることから、改めて導入を検討してみてはいかがでしょうか。総務部長にお伺いします。
3 道路愛称について
次に、道路愛称についてお伺いします。
道路愛称とは、ウィキペディアでは、「正式な道路名とは別に付けられた道路の愛称または通称。道路通称とも呼ばれる。」とあります。
岡山県内には高速自動車道等の高規格幹線道路や、バイパス等と呼ばれる地域高規格道路、一般国道、県道、市町村道と様々な道路があり、県道だけでも、3号 井原福山港線から途中欠番はありますが、556号 後山上石井線まであり、また、700号から自転車道線が4線あります。
このように数多くの道路がある岡山県ですが、愛称がついている道路がとても少ないと感じています。
思い当たるものとしては、県道397号寒河本庄岡山線が「岡山ブルーライン」、県道398号水島港唐船線のうち、かつて一般有料道路として供用されていた区間が「水玉ブリッジライン」、その他にも県道393号鷲羽山公園線が「鷲羽山スカイライン」など、数えるほどしか記憶にありませんし、この3つは全て元々有料道路でしたが、無料開放され、その後も同路線の愛称として使用されています。
このように愛称だと、どの道路かすぐに想像できますが、何号といった番号だと、普段利用している方以外だとすぐに想像することが難しいのではないでしょうか。
更に、ウィキペディアでは、
「道路に愛称が付けられる理由は、生活と密接に関係する道路に親和性を深めてもらうことを目的としており、正式名よりも覚えやすくわかりやすく伝えられやすいという利点があるからとされる。観光や地域のイメージアップにも役立てられ、日本全国各地に愛称名が付けられた道路は1万以上ある。
自然発生的に道路愛称が名付けられることもあるが、多くは自治体の主導で名付けられ、地域住民の生活に密着した道路に関心を深めてもらうために一般公募により愛称を決める自治体も増えている。」とあります。
道路への愛称の付与は、全国の自治体で取り組まれており、県内でも、岡山市では、「県庁通り」や昨年10月に定めた「ハレまち通り」など、44の区間に愛称を定めています。
また、市町村だけでなく、都道府県においても、例えば東京都や千葉県では、過去、会議体を設置し、主要道路や広域的幹線を対象に、愛称を決定してきました。「浅草通り」や「環七通り」といった、我々も聞きなじみのある道路名はここで決まったものです。
岡山県でも、サイクリング推奨ルートではありますが、平成29年に県サイクリングロード推進協議会において新たに愛称を定めています。
利用者にわかりやすく親しみやすい道路愛称を名付けることは、交通の利便性向上を図ることにもつながり、場所の特定がしやすく目的地へ移動しやすくする面で大きな効用があるとされます。
更に災害時における避難や、緊急輸送をスムーズに行うためにも役立てられているとも聞きます。
県民に分かり易く親しみやすく、そして、道路への愛着を深めてもらえるように、また、これから岡山県へはじめて訪れる観光客のためにも、国道・県道の愛称を県民や市町村と一緒になって命名してはいかがでしょうか、土木部長にお伺いします。
4 ドロップキャッチについて
(1) さらなる対策
本年10月、岡山県から「県が使用したドメインの第三者による再取得について」という報道発表がありました。
県が過去に使用した5つのドメイン(ホームページアドレス)について、運用を停止した後にオークションサイトでの売買等により、第三者に再取得されていることが判明したので、注意喚起を呼びかけるものであり、5サイトのタイトルとURLが列記されていました。
今回の様に登録有効期限が切れたドメインを第三者に取得されてしまうことをドロップキャッチといいます。過去に運営していたドメインパワーを悪用した行為などが行われる場合もあります。
ドロップキャッチの話をする前に、まず、ドメインについて簡単にご説明いたします。ドメインとは「インターネット上の住所」のことで、Webサイトがどこにあるかを判別する情報として利用します。
ドメインはWebサイトのURLや、メールアドレスの中で使われています。
例えば、岡山県のWebサイトのURLでは「https://www.pref.okayama.jp」の「pref.okayama.jp」部分がドメインです。メールアドレスでは@以後の部分がドメインになります。
ドメインの登録は基本的に早い者勝ちですので、元々そのドメインで運営していたWebサイトとは全く関係のない第三者が有効期限の切れたドメインを取得することはなんら違法ではありません。
しかし、有効期限の切れたドメインが悪意ある第三者の手に渡ってしまった場合、公序良俗に反するサイトになってしまったり、詐欺サイトやフィッシングサイトで使われたりする可能性があります。
またメールアドレスも引き継げてしまうため、以前利用していたユーザーが第三者に取得されていることを知らず、個人情報を含んだメールを送ってしまい、その情報が悪用される可能性もあります。
このようにドロップキャッチにあってしまうと、後々トラブルの原因にもなりかねません。
県では、今回の5つのドメインの第三者による再取得への対応として、
- 記載のドメインへリンクを張っているウェブサイトの管理者へ削除を依頼
- 県民等への周知
- 庁内へドメイン管理の注意点を周知徹底
をすると発表し、実行したとお聞きしています。
幸いにもこの度のドロップキャッチされた5サイトについて、今のところ被害はないとお聞きしていますが、県民が被害にあわないためには、より周知を広めていくことが必要と考えます。さらなる対策について、総務部長にお伺いします。
(2) ドメインの運用ルール等
悪用されることを想定した場合、安易にドメインを手放すべきではないと考えます。
それでも、ドメインを手放すことを検討するのであれば、対策としてサイト閉鎖後も一定期間はドメインを保持するなどして、サイトへのアクセスがないことを確認し、手放しても本当に問題ないか判断をするべきです。
ドメインの更新料も今回手放したドメインの場合、一般的に1ドメインにつき年1,000円~3,000円程度の費用で済みます。
今後は安易に新規のドメインを取得するではなく、まずは既存のドメインでサブドメインやサブディレクトリといった運用ができないか検討をするべきです。
いちど第三者の手に渡ってしまったドメインは、簡単に取り戻すことができません。
悪意のある第三者によって悪用される危険性を考え、一度取得したドメインは安易に手放さないようにお願いします。
そこでお伺いします。
これまで、県では、ドメインの運用についてどのようなルールを設けていたのでしょうか。また、今回のようなことが起こらないよう、今後のドメイン取得や更新など、その取扱いについて、どのように改善していくのでしょうか。併せて総務部長にお伺いします。